住宅に係る贈与税と相続時精算課税制度

贈与税は、不動産の購入資金を贈与されたとき、土地や建物の不動産を無償で譲り受けたときなどにかかります。

※2021年(令和3年)12月24日に閣議決定された令和4年度税制改正大綱の情報をもとに情報を更新しています。

贈与税とは?

贈与税とは、個人から現金や不動産など価値のあるものをもらった時にかかる税金です。
実際の価値よりも著しく低額で財産を譲り受けたり、債務を免除してもらったときにも贈与税は適用されます。

贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあります。

相続時精算課税」とは、生前贈与をしやすくするために相続税と贈与税を一体化した課税制度です。
本制度の選択を一度届け出れば、以後同じ贈与者からの贈与については相続時まで本制度の適用が継続されます。
この制度を利用した贈与者以外からの贈与については「暦年課税」の利用が可能です。

暦年課税」において、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合、非課税枠が大きくなっています。

2022年(令和4年)4月1日に施行される改正民法の影響

2022年(令和4年) 4月1日に民法が一部改正・施行されて、成年年齢が現行の20歳から18歳に引き下げられます。これに伴い相続および贈与に関して影響があります。

贈与税のしくみ

贈与税は贈与によって財産を受け取った人に課税されます。

贈与税の計算は、まず、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計します。
その合計額から基礎控除額110万円を差し引きます。次に、その残りの金額に税率を乗じて税額を計算します。

贈与税はどんな時に払わないといけないの?

現金や土地・建物などの贈与は分かりやすいのですが、以下のようなものも贈与税がかかりますので要注意です。

  • 資金を出していないのに、財産の名義人になったとき
    結婚して20年にならない夫婦で、夫が全額資金を出したのに妻と共有名義にした場合
    親が資金を出しているのに名義人になっていない場合
    お金を出した人がお金を出した割合分だけの共有名義になるようにしましょう
  • 親から借入をして親に借金を返しているとき
    無利子やあるとき払いの催促なしなど、一般的な金融機関の条件と大幅に異なる場合
    このような場合には、借用書、返済履歴など、税務署に説明できるように準備をしておきましょう
  • 時価よりも著しく安い価格で財産を譲り受けたとき
    時価5,000万円の土地を1,000万円で親から購入した場合など

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税枠

直系尊属である父・母や祖父母などから、子や孫などが住宅取得資金の贈与を受けた場合、以下の金額まで贈与税を非課税。
先行取得する敷地の費用に充てるための資金も対象です。

非課税限度額

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日省エネ等住宅左記以外
2019年(平成31年)4月1日~2020年3月31日3,000万円2,500万円
2020年4月1日~2021年12月31日1,500万円1,000万円
住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 耐震、省エネ
またはバリアフリーの住宅
左記以外
2022年(令和4年)1月1日~2023年(令和5年)12月31日1,000万円500万円

適用要件

  • 受贈者の年齢要件
    18歳以上
  • 受贈者の所得要件
    2,000万円以下
  • 住宅の床面積要件
    50㎡以上240㎡以下
  • 入居要件
    贈与を受けた年の翌年の3月15日までに居住の用に供すること、又は同日後遅滞なく居住の用に供することが確実であると見込まれること
  • 非課税枠の決定時期
    改正前は、贈与を受けた時期によって適用される非課税枠が決まっていましたが、税制改正後は、住宅用家屋の取得等に係る契約の締結時期によって決まります。
    2019年(平成31年)4月1日以後に住宅用の家屋の新築等に係る契約を締結し、贈与税の非課税の特例の適用を受ける場合、贈与を受けた人の非課税限度額は、上記表の金額のうちいずれか多い金額となります。
  • 中古住宅の要件
    中古住宅を取得する場合の築後年数要件は次のいずれかを満たすもの
    (1)建築後使用されたことのない住宅用の家屋
    (2)耐火建築物 築25年以内、木造等 築20年以内
    (3)一定の耐震基準を満たすことが建築士、指定確認検査機関又は登録住宅性能評価機関等により証明されたもの
    (4)新耐震基準に適合している住宅用家屋(登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降の家屋については、新耐震基準に適合している住宅用家屋とみなす

    (3)に該当しない建築後仕様されたことのある住宅用家屋で、耐震基準に適合しない中古住宅を取得した場合において、その中古住宅の取得の日までに耐震完了工事の申請等をし、かつ、贈与を受けた翌年3月15日までに耐震完了工事を完了し耐震基準に適合することが一定の証明書等により照明されたもの
  • 増改築等工事
    要件増改築工事後の床面積が50㎡以上240㎡以下となる工事(耐震改修工事含む)かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること
    一定の工事に該当することについて、「確認済証の写し」、「検査済証の写し」又は「増改築等工事証明書」などの書類により証明されたものであること
    増改築等に係る工事費用が100万円以上、かつ、工事費用の2分の1以上が、自己の居住の用に供される部分の工事に要したものであること
  • 「省エネ等住宅」とは
    (1)断熱等性能等級4もしくは一次エネルギー消費量等級4以上であること
    (2)耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上もしくは免震建築物であること
    (3)高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること
    上記の省エネ等基準に適合することが一定の書類により証明された住宅用の家屋

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の親から、18歳以上の子または孫への生前贈与について、贈与税の選択ができる制度です。

子または孫の選択により、贈与時に贈与財産に対する贈与税を支払い、その後の相続時にその贈与財産と相続財産とを合計した価額を基に計算した相続税額から、既に支払った贈与税を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税をすることができる制度です。

贈与時に支払う贈与税は、2,500万円まで非課税。2,500万円を超える部分については、一律20%で課税されます。

住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例

住宅取得等資金についてはさらに特例措置があります。

住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の場合には、親の年齢制限はありません

上記の、住宅取得等資金の贈与税の非課税枠と併用ができます。贈与税の非課税枠分については、将来も非課税ですが、相続時精算課税制度分は、相続時(贈与者が亡くなったとき)に相続税で精算することになります。

  • 贈与者
  • 受贈者
    贈与のあった年の1月1日時点で18歳以上の子(推定相続人)
  • 受贈者の所得要件
    なし
  • 床面積要件
    50㎡以上
  • 入居要件
    贈与を受けた年の翌年の3月15日までに居住の用に供すること、又は同日後遅滞なく居住の用に供することが確実であると見込まれること
  • 中古住宅の要件
    中古住宅を取得する場合の築後年数要件は次のいずれかを満たすもの
    (1)耐火建築物 築25年以内、木造等 築20年以内
    (2)一定の耐震基準を満たすことが建築士、指定確認検査機関又は登録住宅性能評価機関により証明されたもの
    (3)耐震基準に適合しない中古住宅を取得した場合において、その中古住宅の取得の日までに耐震完了工事の申請等をし、かつ、居住の用に供する日までに耐震完了工事を完了していること
    (4)新耐震基準に適合している住宅用家屋(登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降の家屋については、新耐震基準に適合している住宅用家屋とみなす
  • 増改築等工事要件
    工事費100万円以上および増改築工事後の床面積が50㎡以上となる工事(耐震改修工事含む)
    一定の省エネ改修工事、バリアフリー改修工事及び給排水管又は雨水の浸入を防止する部分に係る工事
  • 適用期限
    2023年(令和5年)12月31日
  • 課税対象
    相続の際に贈与財産(贈与時の価額)を相続財産に加算して計算
  • 非課税枠と贈与税率
    非課税枠(2,500万円)を超えた場合、一律20%
  • 申告と申告期限
    非課税枠内であっても申告必要
    贈与のあった翌年の2月1日から3月15日まで

教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置

30歳未満の子・孫の教育資金に充てるため、直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税は、1人につき1,500万円まで非課税となります。
適用期限:2023年(令和5年)3月31日まで

また、贈与者である祖父母等が教育資金の非課税措置を受けた3年以内に死亡した場合、その死亡日に残っている残高は相続税の課税対象になります。(死亡日に受贈者である子・孫が23歳未満、学校等に在学中、教育訓練給付金の支給対象訓練受講中、のいずれかに該当する場合には課税対象になりません。)

贈与税の配偶者控除の特例

贈与税の配偶者控除の特例とは、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、配偶者から居住用不動産またはその購入資金を贈与された場合に、贈与税の課税価格から基礎控除110万円のほかに、最高2,000万円を控除できる、という特例です。

【適用要件】

  • 婚姻期間20年以上
    ・婚姻期間は1年未満の端数は切り捨てで計算
    ・婚姻期間は入籍の日から贈与の日まで
    ・内縁関係は生計を一にしていても認められない
  • 居住用不動産かその取得のための金銭
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住し、その後も引き続き居住すること
  • 一生に一度の適用
    ・同一夫婦の間では一度しか利用できません
  • 贈与税が発生しない場合でも贈与税の申告が必要

贈与税の税率

18歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率

税率控除額
200万円以下10%
200万円超400万円以下15%10万円
400万円超600万円以下20%30万円
600万円超1,000万円以下30%90万円
1,000万円超1,500万円以下40%190万円
1,500万円超3,000万円以下45%265万円
3,000万円超4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

上記以外の贈与財産の贈与税の税率

税率控除額
200万円以下10%
200万円超300万円以下15%10万円
300万円超400万円以下20%25万円
400万円超600万円以下30%65万円
600万円超1,000万円以下40%125万円
1,000万円超1,500万円以下45%175万円
1,500万円超3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

贈与税・相続税を始め、住宅購入にまつわる税金は法改正が多く複雑で、一般の方には非常に分かりづらいものです。
住宅にかかる贈与税を含めて、お得な家づくりをしたい方は家づくり相談のページをご覧ください。

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